官能童話シリーズ
」のレビュー

官能童話シリーズ

犬飼のの/笠井あゆみ

童話を土台にした創作ストーリー

ネタバレ
2022年10月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっと前から気になっていた官能童話シリーズ。半額SALEに飛びついて全部買いました。まずは1番古い作品のこちらから。

白雪姫に、ラプンツェル、美女と野獣、眠り姫のネタが入っていて、よく練られた実に面白い作品ですね!昔、「本当は恐ろしいグリム童話」を読んだことがあり、性的で残虐的な要素に子どもの私はびっくり仰天したんですけど笑、同じ香りがするなと思って読んでいました。最初の方は特に嫌悪感があり、気持ちが悪くて途中で読むのをやめる人もいるんじゃないかなと思います。まず父親の性癖が狂気ですし、母親の残忍さにもおっかなびっくり、それはまだいいとして主人公スノーホワイトの7人のエルフとの食事に、私も眉を顰めっぱなしでした。まぁBLですから魔力と言うとそこを思い浮かべますけどね笑。でもあまりにも生々しくて「うえっ」ってなっちゃうんですよね(^_^;)そして現れたビーストに襲われ、この物語一体どうなってんだと思いましたが、すぐに攻とわかり、そこからは比較的心穏やかに?読めました笑。(終盤はまたすごい展開が待っていますけど)
兄弟同士で愛し合ってはいけない、でも離れることもできない…とモダモダが切なく、「いけー!」と、思わず応援しちゃうほど。スノーホワイトの、ビーストであろうと、兄に呪いがあろうと、禁忌であろうと、「好き」「愛している」とガンガンぶつかりに行く姿が美しかったです。拗ねたり、恨みがましく思ったりするところも人間らしくて愛しい。カイルも悩み苦しみながらほとばしる想いを止められず、自分を制御できなくなる様が愛の深さを感じさせます。
結末は納得のハピエンで、穏やかな幸せを感じさせる2人にニマニマしていたら、ラスト3行に愛が深い上のドロっとしたゾクゾク感を残してのend。ラストまでこの作品の雰囲気を残したところが個人的にはすごく好きでした。

全体的にダーク要素が多めなので、万人受けはしづらいと思いますが、ゾクゾク系が好きな方にはとてもオススメです。趣向の凝らしたすごい作品に、私は大満足ですし、とても面白かった。ただ何度も読み返すかと言われると、忘れた頃に読み返したいなという感じです。
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