フリップ・フリップ・スローリー
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フリップ・フリップ・スローリー

オオタコマメ

繊細な大人の恋

2022年10月15日
帯の「卑怯ですね」という文句にひかれて購入。読み初めてから「プレイアフターコール」のオオタ先生と気づきました。改めて私、オオタ先生好きなんだなぁ笑

いや~、いい。好きですね、この雰囲気。
片田舎の司書と田舎にそぐわないワケありな色気を持った中年男性の恋。

静かで穏やかで、激しい展開はありません。けれど、2人の交流のなかでは非常に繊細なタッチで確実にドラマが起こっています。

ことに八月一日(やぶみ)さんの部屋を見たあとの荻原君の読みがいいし、違和感をストレートにぶつけてくるところにグッと来ました。やぶみさんのような人には、荻原くんのように踏み込んで来てくれる人が必要なんだよね…

風景や木漏れ日も美しく、田舎の空気感や海辺のドライブの風も感じられるよう。絵の運びや画角、セリフも含め、一編の作品としての完成度がとても高い。上質な映画のような質感を持っています。

優しく満たされる作品。
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