きみの背中ぼくの手のひら
」のレビュー

きみの背中ぼくの手のひら

阿賀直己/ぱち

切なくて苦しくて幸せで、やっぱり苦しい

ネタバレ
2022年10月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読む度に何でこんなものを書けるのだろう?と思う作家さま。
BLなのだけど純文学とか文芸本読んでるのに近い感覚。
多分、芥川とか漱石とかの暗くて重苦しい小説が好きな人はハマります。
読んでてずーっと胸が苦しくて痛くて切ないのに、読まずには要られませんでした。
「神様は この恋をわらう」を読了後のぽっかり空いた胸の中の穴を埋めようとして読んだのですが…やっぱり痛くて苦しかった。
こじんまりとしたイタリアンのお店のコックの宝×甘いマスクのモテ男のCMプランナー、東五。
東五が怖がりで寂しがり屋で泣き虫でとっってもネガティブなので、読んでいてかなりメンタル引きずられました(笑)
気持ちが元気な時か、メンタルを落ちても大丈夫な方にしかお勧め出来ないのが残念ですが、とても良いです。
宝も東五にとっては完璧な相手なのだけど、かなり独占欲が強くて普通だったら引かれてもおかしくないレベル。
でもストレートに欲しいものは欲しい、好きなものは好きと言う漢気があるタイプ(少なくとも東五に対しては)なので、怖くて引いてしまう東五にはぴったりなのかもしれない。
東五の周りにどう見ても「お前、東五のこと好きだろ!」と思われる数名がいて、その好意に東五が気づかないので「宝、大変ね」と思ってしまった。
お互い色々と経験はあるものの、初めての本気の恋、なので真剣な初恋、という感じでのお互いを思う気持ちのピュアさとか切ない感じを一緒に感じて甘さや苦しささえも愛おしかった。
扉絵のすぐ後ろにメインキャラの絵があるので、人物像を何となく想像出来て良かったです。
「神様は…」は両想いなのに別れていく2人でしたが、こちらはハピエンなのが嬉しかった。
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