フリップ・フリップ・スローリー
」のレビュー

フリップ・フリップ・スローリー

オオタコマメ

小説を読んでいるような気持ちになる作品

2022年10月21日
前作が良かったので作者さん買いです。表題作のみ全5話+描き下ろしで合計168ページ。萩原が司書を務める少し田舎の図書館に、ふと現れるようになった八月一日。図書館司書と常連という関係が少しずつ変わっていくお話です。攻め・受け、どっちがどっちか分からない作品って個人的に実はちょっと苦手で、想像したのとポジションが逆だとショックを受けるタイプなんですが、今作品でもポジション不明でこわごわ読んだら予想通りで一安心でした。逆にどっちか分からない方が好きな方もいると思うので言及は避けますが、どちらか一方が女々しいとか雄々しいわけでもなく、それがこの作品の面白い部分の一つかなと。そして都会とは違うちょっと田舎の雰囲気だとか、山道を抜けた後に広がる海の情景だとか、耽美な絵柄と相まってとても雰囲気のある作品で、なんだか小説を読んでいるような気持ちになる作品でした。逆を言えば、何か情熱的でドラマチックな盛り上がりというのはないので、そういった作品が好きでない方には少し合わないかも。エチは最後描き下ろしでさらっと描写あり。最後で、過去の八月一日さんが救われて、胸のつっかえがとれた感じがしました。
いいねしたユーザ9人
レビューをシェアしよう!