追い出された万能職に新しい人生が始まりました
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追い出された万能職に新しい人生が始まりました

宇崎鷹丸/東堂大稀

安直ではない展開が、好感持てる!

ネタバレ
2022年10月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻読後の感想です。散々虐げられてきた主人公が、実は…という話は星の数ほどありますが、大抵、大変だった時期の話をサラッと流して主人公が無双する…、又は、とことん主人公をイジメ倒して最後に一気にひっくり返す…のどちらかに流れていきます。でも、この作品は一味違いました。まず、冒険者になるためには、「万能職」として先輩冒険者に師事して修行しなければいけないというシステムの存在が、この世界をきつく締め上げています。その万能職として7年勤めたのに、全く“芽が出ない”としてクビにされた主人公君は、単なる冒険者としては無能ですが、実は、錬金術者とテイマーとしての隠れた才能を持っています。その才能を見出して、彼の世界を変えて大きく育てよう(しっかり先行投資をして儲けよう)という大商人と、彼を只の無能者と決めつけて、彼が実績を積んで有名になっていく姿が「気に入らない」と暗躍する冒険者ギルドの人間達、主人公を陰ながら見守っている素っ気ないけど“おせっかいな”大商人の護衛、などなど、さまざまな人間の思惑が絡んで、話がどんどん膨らんでいきます。自己評価が著しく低い主人公の置かれた状況は、目指したい職業と、本人の才能や素質が一致していないから起こる悲劇とも考えられ、主人公が自信を持って活躍するようになった姿を見たいです。先がとても楽しみな作品です。
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