傷心公爵令嬢レイラの逃避行
」のレビュー

傷心公爵令嬢レイラの逃避行

染井由乃/鈴ノ助

苦甘い

ネタバレ
2022年10月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 軽く纏めると、親の教育失敗故の悲劇がサイコ王子と絡めてより一層酷くなった話ですね、王家の血筋由来の依存性は長きに渡り続けてきた近親婚がもたらした弊害のひとつでしょう、王子、公爵夫婦、そして公爵の言ったことから見ると、この国の上級貴族層は恐らく大なり小なりこういう精神疾患に罹ってるだろう、だがら復讐なんてなくても、この国の支配層は遠くない未来で自滅するだろうと思うと、なんとか割りきれるような気がする、じゃなきゃ納得できない!だって公爵家と王子の末路が書かれてないからね。
公爵との会話辺りまで読んだらもうローゼも憎めないよ、どう見ても彼女もまた歪んだ家庭の被害者だから、ほんとうに許せないな、公爵夫人の独白を読んだ時はまだそのすれ違いによってちょっと同情したけど、2巻後半、とくに葬式になるともう本当に台無しです、1巻でその不器用な愛に感動して損した気がする。
まあ、いろいろモヤモヤするけど、最後に口いっぱい砂糖を食らわされてので一応納得しますか。
ただ、この恋物語、世界観が無駄に壮大な分、グレーテの将来、ルウェイン一族の仄暗い未来を思うとどうしても足りないような気がするな…一番愛しい家族4人は全員同じ時期に居なくなって、少なくともレイラとリーンハルトの子が側にいるのがせめての救いかな…ルウェイン一族の血が薄すぎて魔法を使えなくなって結界も破れた時、きっと何らかの争乱に巻き込まれるだろう、 まあそれも何千年後になるからアルタイル王国もとっくに滅んだんだろうけど…
色々悩ませる作品です。
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