ENNEAD【タテヨミ】
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ENNEAD【タテヨミ】

MOJITO

お願いだから誰か幸せになってくれ

ネタバレ
2022年10月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLがあまり得意ではないんですが、絵が美しすぎるのとエジプト周りへの興味があり、広告からつい試し読み。気が付いたら全話購入してました……。
まるで映画を観ている様な描写、ミステリアスなムードに覆われていたそれぞれの愛憎がまろびでる30話以降は本当に怒涛。
それぞれの思惑、願い、叶わない思いがすごく切なくて、でもそんな感情のぶつかり合いと駆け引きに息を呑み。と書くと一見人間味のお話のようですが、そこに神様としての有り様、人間との関わり方も綺麗に織り込まれていて見事という他ありません。
いやもう願えば願うほど叶わないだとか、諦めれば望みが叶うとか、物語の展開と人物描写の進行の2層を一気に串刺しにする楔の打ち込み方がものすごい。
平たく言うと天才。
セトもホルスもイシスもアヌビスも全員主人公ですよねこれ。

推しという意味では基本箱推しだけれど、マアトとトトの夫婦が私の癒しかな。
苦境な展開で駆け付けてくれるイシスを見る度ホッとする分、彼女の想いに心を傾けると苦しくてたまらなくなる。
彼女の心臓が止まっている限り誰の願いも叶わないのなら、誰か彼女の心臓を再び動かしてくれはしませんか。

希望を願って暗闇の中を歩き続けるようなずっと苦しいお話なんだけど、苦しんだ先でふと道標を示される愛ある作品だなとも思っています。
それもご都合な感じではなくて、それぞれが自分の思惑を成し遂げようと競り合った結果の落とし所として納得させられるのが凄い。

個人的にはセトはまたネフティス、アヌビスと3人で穏やかな時間を過ごして欲しいんだけど……違うんでしょうね。
ところでホルスは叔父様に鏡の中に居る本物のネフティスのことは伝えたのかしら?
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