ふたりあそび 【電子限定特典付き】
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ふたりあそび 【電子限定特典付き】

あがた愛

高い緊張感、引き込まれ、息を詰めて読んだ

ネタバレ
2022年10月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ ランキング上位だったので試し読み、即購入。300ページ近くある長い1巻、決して展開が早いわけではないのに、ダレることなど一切なく、引き込まれて読みました。読後、即座に頭から2周目。

良さは何なのか考えてみると、まず、スリリングさ。廉(攻)がなっちゃん(受)の「自/慰行為を頼まれて手伝っているだけ」という体で進行しているのですが、徐々に行為の内容も気持ちも、その範疇を超えていく。いつこの体裁に収まり切らなくなるか、その時どうなるか、ハラハラさせられる。

行為はエスカレートし繰り返されるのに、気持ちも自覚されていくのにどちらも伝えていないので、「自分ばかりが好きなんだ」「相手には迷惑なはず」という思い込みからくるすれ違った言動が続き、その意味でも読み手はハラハラさせられる。そうして危ういバランスがどこでどう決壊するのか、緊張感の高い状態で進むので、読者も集中して入り込む。

まだBLと呼ばれず「やおい」とか「耽美」とか呼ばれていた頃の作品の感覚を思い出しました。

あとは、とにかく表情の表現が細やかですごく感情が伝わってくるし、言葉遣いが小説のようで世界観を作り出していて、作品の世界に没頭できる。

廉が、ふだんは無気力無感動で冷淡という感じなのに、なっちゃんの無意識の言動の破壊力を前にしては赤面したり、焦ったり、生の感情が出るところがめっちゃ可愛らしかったです。

個人的には、子供と性が結びついている作品は苦手なのですが、この作品は丁寧に「利用しているのではない」関係性を描こうとしてくれていると感じました。

ちなみに、この攻め・廉にすごく惹かれて、なんでなのかと考えたら、私が昔すごく好きだった、やまざき貴子先生の『っポイ!』の日下万里を、廉の奥に思い出していたからでした。分かる人いたら嬉しいなー

追記: その服の布地の上から胸の突起は決してそのようには見えない…という描き方があり、いくらデフォルメがあるのは当然としても、そこは興が醒めてしまい、残念でした。
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