レビュー
今月(4月1日~4月30日)
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シーモア島


投稿レビュー
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人物造形がすごい、ドラマに納得感しかない2025年3月2日すごく引き込まれました。雁須磨子先生は、文章を完全にしないで、断片をつないでいくような言葉の使い方が、リアリズムというか独特で面白いな、というところが、これまで印象的に思っていました。今回の作品では、人物の説得力に圧倒されました。もっと言うと、男と男の、しかも同じ職業のふたり、プライドのかかった競い合いが水面下でずっと進行していて、でも、かたや性愛も含む親密な関係性で、どうしても上下関係、支配被支配の関係から降りることを求めてくる力が働いている。その緊張感あるドラマがたまりませんでした。宇郷という男、彼は傍若無人で、それでいて怖がりで、すぐホモソーシャルな世界の中での支配に逃げる。言ってみれば、サブカルマッチョ野郎です。現実では、ここに女性嫌悪が入ってくるのが常だと思います。そういう、ある意味きわめて男らしい男が、同じ男との関係性を通じて変わっていく。それがエロティックでもあり、感動的でもありました。読む前には分からなかった、でもなぜか「ああ、私はこれが読みたかったんだ」という、自分のなかにこれまでもあった欲望を形として発見するような感覚がありました。BLで自分が読みたいものは、これなんだなと納得しました。
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2人のリアリティある恋を応援したくなる2024年9月19日試し読みの部分では、もう少しダークな話なのかなと思いました。しかし読み進めてみると、恋愛での普遍的な悩みが丁寧に描かれていて、リアリティがありました。攻めの宮田先生のほうも、弱さのある普通の人間として描かれていますし、受けの鮫原先生のほうもゲイセクシュアルならではの悩みの部分もありつつ、恋愛という他の人間関係と違う特別な関係において、相手を信じて自分を明け渡すことへの不安やためらいが焦点となっており、多くの人にとって覚えのある感情が描かれていたと思います。絵についてなのですが、表情や身体の線がとても魅力的だなと思いました。キスシーンの唇がシンプルな線なのにすごく伝わってくる感じがしてどきどきさせられました。キャラクターのことで、宮田先生の気怠げで冷たそうな目つき、それでいて距離を詰めるのが上手くて逃げ場をなくしてくるコミュニケーション、そのモテそうだけど空虚そうな感じが、読んでいて目が離せなくなるサスペンス感覚を味わわせてくれました。派手なドラマではなく、けれども日常ほのぼのでもない、リアリティあるひとつの恋の話でした。
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Happy Birthday ちとせくん【電子限定描き下ろし付き】
引き算がうまいリアリズム2024年8月25日どなたかも書いていらっしゃいましたが、無駄なコマがないという感じがします。だからだと思いますが、心地よい緊迫感があって、短編映画のようです。高校のときの時間軸が、現在の時間軸から振り返る形で描かれているので、高校の分は必要なエピソードだけが語られている。最後の方は準備が整って、現在の時間軸がパーッと進みます。そこに読者が欲しい全てが詰められている。私はこの作者さんは初読みなんですが、構成がすごいなあ、と感動してしまいました。キャラについてなのですが、私は受け(千歳)の子の性格がとても好きでした。急に強気なことを言って踏み込むんです。それがとても魅力的で、こんな子に近くに来られたら参っちゃうなと思う。でも攻め(高鷹)の子の前だからそうやって振る舞えるということなんだと思うので、結論、ふたりがとてもいい組み合わせ。ずっとずっとふたりで楽しい時間、大切な時間を一緒に過ごしていてほしいな、と思わずにいられません。セリフや言葉がシンプルで読みやすかった。ミニマムまで削いである気がしました。街の景色なんかも小さなコマでもすごく分かりやすかった。ペンタッチというのかな?、絵柄も好きでした。 -
少女漫画の良いところ集めてできている2023年12月28日密度のある、詩的な作品でした。少女漫画の歴史を自覚的に引き継ぎ、リミックスした擬似懐古的なスタイルを採っているように思えます。そうすることで「インスタ」「ネトスト」「推し」といった用語に代表される今日的な事象を描いていても、たとえば5年、10年経っても恐らく時代遅れ感が出ない作りになっているのではないか。過ぎ去った時間をコレクションするかのような視線が現在の時間も包み込む。「誰にも見てもらえない」「誰かに見ていてほしい」と主人公ふたりと同じくSNSにすがる私たち読者をもすくいあげているようだ。リアルなことが描かれているけれど、そういう遥か上空に視点があるところはどこかSF的とさえ思える。昔もいまも、誰かと誰かが出会って向き合い関わり合うことこそを重大事とし、不安に揺れる若い読み手に「大丈夫だよ」と差し出してきた、少女漫画の歴史の結晶のような作品。たくさんの人に読まれるといいなと思います。
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息できないのは君のせい SUPER PINK【電子限定・18禁】
2者関係としてベスト2023年11月22日この掌編は、エロティック方面の満足度もさることながら、2者関係としてベストなふたりの親密なお話を読めて、何だか思わぬ感動がありました。2人がお互いをよく知り信頼しあっているからこそ、こういう充実した性的な時間も成立するんだよなぁ、と。男性らしさとか女性らしさとか、そういうものがまだまだ根深く残って、いちばんプライベートな場面でさえ意識から拭いきれず、幸福度に関わってくることも少なくない時代にあって、ふたりの信頼の中で安心して「どうあるべき」とか「どう思われるか」が溶かされている。インスタントには手に入らない関係。本編でふたりが向き合って格闘してきたから…読み返そうと思います。 -
里つばめワールド内だけで許してしまう色々2023年11月19日作品レビューではないのですが、本作を再読したら里先生作品についてしみじみ感じたことがあったので書くことにします。里先生のエリートリーマンものは、ガチガチのホモソーシャルの世界で、もちろんミソジニーもばりばりで、部分的にホモフォビアもついてくる現実と同様の地獄。要素だけ取ると拒みたいものばかり。なのに、先生がここに性愛を加えて描いたとき、性愛以外の部分の現実味ある描き方に支えられて、フィクション全体にもしかして現実に起きうるかもしれない、もう起きていることかもしれないという説得力が持たされ、そして、このファンタジーを通してみると、ついついレジストを忘れて現実を認め許してしまいそうにまでなる。そんな危うさをもつのが里先生の作品。そういう意味で、このジャンルにおける正統的な作品を作られる先生だな、と思わされます。そもそも男尊女卑が残る社会での生存を迫られる女性にとっては、このファンタジーを通して現実を見直すことこそが、ひとつのサバイバル手段でありきたってきたのだと思います。時代とともにいろいろ変わったこともあれど、この社会に生きる処方箋として里先生の作品はたまらなくよく効く。
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ためらってる人は全員、読んでほしい!2023年6月1日一生忘れられない1冊になると思います。値段や時代物を前に迷われている方、全力でお薦めしたいです!
「おはなし」を読む楽しさ、喜びがぎゅうぎゅうに詰まっています。景色もアクションも表情もどこを取っても見事な絵、快感を覚えさせるほどに構造化された物語の構成力、繊細な心理描写、時代物ならではのかっこいい言い回しのセリフ…。緊密でいながら緩急ある流れ。ひとつの講談か何かのお話のようです。作者さんのなかで、どういう言動がかっこいいのか、美しいのか、ということが研ぎ澄まされてはっきりしているんだろうな、と感じさせられます。読んでいて「粋」が見える。優雅に扇を返すかのように話の流れがザッと変わる瞬間がある。最高です。BL部分については、攻めが2人出てきます。受けの若い頃の相手と、年齢を重ねてからの相手。ネタバレを避けて書きます。前者の関係性は、暗いものを抱えた受けに対し、懐の大きく温かい攻めが、見返りを求めない贈与的な愛し方をするというもので、王道ながら堪らない。後者は、うまく言えないのですが、葛藤を抱えた大型犬攻めが、かわいそうで、かつ、かわいいんです。現代とはひと味違って、人の振る舞いに決められた型がある時代。そういった縛りがあるなかで、情がどのように抑えられ、歪められ、また発露するのか。この作品は折に触れて繰り返し読み返すと思います。 -
2巻待ち遠しい!!2023年4月25日初めての作家さん。
敏感な嗅覚を持ち独立してパフューマーとして活躍中の攻、黒蜂翔生(くろばちしょう)。対する受、御薗馨(みそのかおる)は、生まれつき人を惹きつけてしまう香りの持ち主で、本人はそれをコンプレックスに感じている。馨は悩みから解放されたい思いから、香水の企業に勤め、自分の香りをリセットする(そこへ好きな香りを乗せる)というコンセプトの香水の企画を進めている。そこへサポート役として翔生が加わって2人が出会う。私はこの作品がすごく好きです。いろんな魅力があるんですが、メインは、馨が香りで相手を魅惑できてしまうが、そのことに葛藤していて、気になる相手といい関係になりそうになっても個人として見られているのではなく、自分の意志や考えとは無関係に放たれる香りによるものなのではないか、と葛藤するというお話の枠組みが、人間関係の普遍的な悩みを描いていて、やっぱり面白いです。オメガバースもこういう側面ありますね。あとは、香りというモチーフが読む方の身体も起動させられるところがあり、好きです。絵、構図もすごく好きです。忘れられないページがあります(他の方も言及しておられました)。台詞も印象的で何度も読み返してしまいます。あと、実はサスペンス的というか「この攻、受を傷つけないかな…」とハラハラさせられて、読み物として「続きが気になる!」というところも面白さかな、と思います。
個人的に、性的なことが無理矢理じゃなくて、ちゃんと合意前提になってる世界観も安心できて好きです。2024年に2巻ということで、それまで頑張って生き延びます!
追記:
先日、作中に出てくるのと似たコンセプトの香水を見かけ、本作を思い出して買ってしまいました。2巻が待ち遠しいです。 -
独特の虚構空間に成り立つ関係性の尊さ2023年4月10日重い実先生の作品大好きです。でもなんで好きなのか、深く刺さるのか、うまく説明できないでいます。 山本くんの服の畳み方がものすごくきちっとしてるとか、小林くんが温度や物の大きさなど道具を使わなくても数値で把握できるところとか、山本くんが最中に命令形になり口が悪くなるとか、あふれんばかりのディテールが、どれも読み手である自分の予測の範囲を少しだけ超えていて、シュールというほどではないのだけれど、非現実感があって、それが独特の浮遊感を与えてくれているような気がします。 ダイレクトにエモーショナルなのではないのだけど、リアリズムとは異なる描き方で独自空間が作り上げられていて、そのなかでこそ成立するエモーショナルを垣間見せてくれる。それが本当に素晴らしい。作品世界の地平がリアリティとはずれている、そのズレのあり方が、心理部分の尊さを成り立たせているような気がします。他に先生の作品で特徴的だと思うのは、山本くん小林くんが互いに感じていること思っていることが相手に伝えられていないことが多い。つまり読者だけが知っている。すれ違いエピソードなどではなく、後で回収されるわけでもない。その感じが第三者である読者に切なさや見守りたい感覚をもたらしているように思います。どこかの記事で重い実先生作品の魅力を「ギャグ」「エロ」と書いているのを読んだのですが、もちろんそれもあるけれど、そのエロスを支えている文法(先生が独自に作られたものだと思います)こそ紐解かれ、讃えられてほしいと思ったりしています。
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絵がすごく綺麗!ぜひ他も読みたい2023年3月11日芹澤知先生の単話を読んだときに、巻末についていたリキューレpathosの宣伝のカラーイラストがあまりに自分の好みで、本当に何もかも美しくて、これは誰が描いたのだろうと調べ、判明したのがma2先生でした。
BLではこちらの作品だけ見つかって、すぐに買って読ませていただきました。
ひとコマひとコマ、正確な線が引かれてるという感覚を覚えて、震えながら読みました。本当に先生の描かれる絵が好きです。
お話もかわいくて、この2人がこの後どうなるか気になります。読み切り企画のようで少し残念です。また別のBL作品も楽しみにしています。 -
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「やおい」「耽美」のころの関係性を感じた2023年1月26日3巻まで(4巻未読)読了。お勧めを受けて購入。自分だけでは買わなかったであろう作品。
小島(受)も半分嘘で生きているようなキャラだけれども、読者としても、のちのち明らかになることが多くて「そうだったのか!」「騙されてた!」と振り回される。その振り回される感覚が、嫌ではなく、ミステリを読んでいるときのよう。
自分が最近読み慣れているもので得られる萌えとは異なるが、受け攻め2人の人間の関係性には胸を絞られるような感覚を覚える。どこかブロマンスものとの近さも感じる。
似てないはずなのに2人一緒になると双子のような2匹のウロボロスの輪のような。2人でいることで完成されるが、2人だけで完成してしまうので他者には閉ざされている感じ。お互いによってお互いが救われるのか、お互いによってお互いが滅びるのか分からない危うさが、先を読みたくさせる。
このジャンルが「やおい」「耽美」といわれていた頃は、こういう関係性の作品が多かったような気がして、どういうことだか考えてみたくて、とりあえずレビューとしてメモさせて貰いました。
追記:
あとから萩尾望都『トーマの心臓』のトーマとユーリを思い出した。勝手にユーリのために、と命を捧げてしまうトーマと、自らを圧倒する贈与に怒り、戸惑い、しかし最終的に救われちゃうユーリの関係性に、ぜんぜん違うけど、でも、どこか小島と大門は似ているように思えた。
追々記:
4巻まで読みました。トンネル、抜けてこられて良かったね、と、本当に頑張り切った2人を祝福したい気持ちです。 -
容赦ない愛が台詞に結晶している2022年11月20日紙で1-2巻を読み、電子では3巻のみ買いました。
トラウマや親子関係など、それぞれのキャラクターの背景は、言ってみれば王道なのですが、人物造形の説得力が圧巻です。特に台詞のやりとりは背中がぞくぞくするほどでした。
愛や信頼、安心を諦めそうになる主人公(受)に、それを許さない。恐怖心も、その奥の欲も願いもすべて暴き出して、諦めさせない。そういう、攻が受に踏み込んでいって捕まえて、陽の当たるところへ連れ出す関係性、『お遊びはそこまで』でも共通しているように思います。
この描写が、松本ミーコハウス先生の作品で、本当に好きです。
もちろん絵も好きです。描線そのものが艶かしくて、息をついてしまいます。
ハードなシーンもありますが、勇気を出した暁に得られる愛の姿がしっかり描かれていて、読後はきっと読んで良かったと感じられる作品だと思います。 -
意外にも感動して涙した2022年11月14日読み放題で4巻まで読みました。
天才ながら他者との関わりに未熟さがあるアンドロイド研究者の主人公が、子供のときに大事にしていた人形の記憶を引き継ぐアンドロイドを偶然手に入れることから話が始まります。
BL設定としては、一見して、このアンドロイドがセクサロイドだという点が重要にも思えますが、そういう性的なことより、実はこの作品には、深い感動が潜んでいて、ある事故が描かれる4巻では思わず涙が出てしまったほどです。
なぜ心を動かされたか考えてみました。
人形の記憶を継ぐこのセクサロイドが、主人公に対して、無償の愛、無条件の愛を投げかける。それによって勇気を得て、人間関係に回避的だった主人公が変化し、他者との関わりに踏み出していく。そういう成長が描かれています。
大人になりきれていなかった天才児が、人形との関係に促されて成熟を遂げる。そこに感動させられました。
子供と人形の間に生じる愛と安心の空間は、健やかな自己愛に役立っているのだということが、あらためて思い起こされました。
表紙やタイトルからは予想のつかない、良質な童話にも似た感動が隠されていて、びっくりしてレビューを書いてしまいました。雰囲気はほど遠く思えるかもしれませんが、童話や児童文学の好きな人におすすめかもしれません! -
控えめなのが現実感あって良い2022年11月11日読み放題で読みました。なかなか読み返したいほどの作品には読み放題では出会いにくいのですが、こちらは買おうかなぁと思うくらい気に入りました。
なぜそう思えたのか振り返ると、現実感があるからかなと思います。もちろん王道展開と言えばそうだし、ヘテロ同士がたまたま両思いになるというのはご都合的ではあるのですが、数多ある他のBLと比べて、人物造形、セリフなどが、仕事の場面をはじめとして、性的なシーンでも、わざとらしさがなく控えめで、その分リアリティがあったな、と思いました。
おかげで「ありえない」などの気持ちが生まれて作品との距離が空いてしまうことなく、2人のドラマを見守れました。
スパダリ過ぎない人間味ある攻、愛らしいけど仕事ではしっかりと頼れて、庇護欲を駆り立てるというのではない受、とても良かったです。
こういう無理なデフォルメのない作品をもっと読みたいなぁと感じました。いいね
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攻めも受けも二人とも真面目2022年10月30日はじめ(受)が、自動車会社の社長の息子という設定で、いろいろと世間に疎いのを本人も自覚して恥ずかしがったり、だからこそ「ふつうこうでしょ」というのに流されずに考えて判断して言える、できることがあったりするところが良かったです。
この作品のヒロセ(攻)は、『ふたりあそび』の廉と似た顔立ちで、優しくていつも余裕がありそうで落ち着いた感じの男性。ですが、受に迫られたときに赤面したり焦ったり余裕なくなったりする。そういう描写が、あがた先生の他の作品にも見られる攻のタイプで、とても好きです。
作家買いしたい作品、先生と出会えてうれしいです。楽しみにしてます。 -
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世界線違う豹変ぶり2022年10月28日続きが出ることはないのでしょうか。
他の方も書かれていますが、豹変ぶりがすごいので、この背景について、もっと知りたくなりますし、2人の関係がどう進展していくのかも読んでみたいです。
先が出ないか、気長に待ちます!いいね
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続きを読みたくて身悶えています2022年10月16日『STAY GOLD』本編も、もちろん大好きな作品ですが、日高とコウのことは歯痒くもどかしく、うまくいってほしいと切に思っていたので、こうして彼らのその後が読めて嬉しいです。
コウの言う「引っかかり」、違和感はなんなのか、とても気になります。きっと2巻が出るのはとても先なのだと思いますが、未来から取り寄せをしたい!!とか愚にもつかないことを心の中で叫んでしまうほどに続きが読みたいです…
定型的でない、本当にあり得そうだと感じられる描き方で、丁寧に「恋」という現象を表現してくれる作家さんだと尊敬&信頼しています。
続きが読めるまで頑張って生き延びます。 -
ファンタジーかと思ったらSFなのかも??2022年10月7日黒い海、覡の存在、孤立した島とその外……。徐々にその謎めいた世界の理由が明らかになりかけた本巻でした。第1巻から、時代設定がいまいちはっきりしないと感じていたのですが、3巻を読んで、なるほど、と思えました。
領主の性格が怖いし、海に乗っ取られた人も怖いし、まだまだ分からないことが多くて、早く先を読みたい気持ちでいっぱいです。
BLとして読み始めたはずが、ファンタジーというより、どうやらSF寄りらしい設定のお話に引き込まれてしまい、エルヴァとアルトの関係は、その安定性もあって、もはや嬉しいおまけ要素のような位置づけに、私のなかでなってきました。
何巻かかるお話なのかわかりませんが、続きを読めるのを心待ちにしています。 -
台詞負け…?2022年10月3日鳥飼さんの作品は全部読んでいます。モチーフ、画力、熱量、時代への感性、すごい作者さんだなと思っています。
ただ、「先生の白い嘘」後半にも感じたことなのですが、台詞、言葉に重心がかかってしまっていて、それが物語そのものや漫画としての完成度に貢献していないという印象を受けます。
サターンリターンも、佳境に近づいているとのことですが、同じような印象を持ちました。もったいない、と正直感じてしまいます。最後の文章にも奇しくも書かれていましたが、食うか食われるか、で、お話に食われてしまっているのかもしれないなぁ、と。
編集さんに、作者が作品をもう少し馭せるように、もっとコミットしてもらったらどうにかならないのだろうか、などと考えたりしました。 -