このレビューはネタバレを含みます▼
綾瀬隆史は高校の卒業式で、片想い相手の津田颯に告って「女が好きだしムリ」と言われてしまいます。けれども感極まって泣き出した隆史に颯は「俺より好きな相手ができるまで年に一回誕生日にデートしてやる」と約束してくれます。10年間で10回のデートはどれも飲みながらの近況報告に過ぎないけれど、必ず会ってくれる颯への想いはますます募り、隆史は不毛な恋を断ち切ろうと好きな相手ができたと隼人に嘘ををつくのでした。颯は喜んで、祝ってやると飲み始めるのですが、隆史の好きな相手を紹介してくれと言い出します。隆史は行きつけのゲイバーで知り合いにフリをしてくれと頼むのですが、そんな隆史に颯は「お前は俺を好きでいればいい」と呟くのでした。ノンケとゲイの二人が年に一度だけの逢瀬を重ねて10年後、元々好きだった隆史は先の無い関係への不安と未練に苛まれて思い切った行動に踏み出し、颯は自分をまだ好きでいるのかを確かめるかのように隆史を受け入れます。お互いの10年分の様々な想いを昇華させてゆくお話ですが、随所にDK時代の思い出が挟まれるのが良いバランスでした。