セックス・アンド・ワールズエンド【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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セックス・アンド・ワールズエンド【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

成瀬一草

苦くて甘い

2022年10月30日
友人の借金の連帯保証人となり、借金取りに追いかけられる羽目になった元AV俳優の泉と、借金の取り立て屋・マサオの物語――。

この作品、すっごくよかった。
借金の取り立てのため、東京から北海道まで二人が旅する物語なのですが、最初の数ページを読み始めたら最後、怒涛の展開でラストまで一気読み。

主人公の泉がちょっと抜けてるアホの子でカワイイです。
どんなに一生懸命逃げても、詰めが甘いので必ずマサオに捕まっちゃう。
「お前なんか大っ嫌いだぁぁ」と言いながらも、マサオに抱き潰される泉がなんとも官能的でエロい。攻め様のマサオは裏家業の人間らしくどSで、なんかすごくエロい。
カーチェイスのシーンでも思ったけど、作者様、画力あるな…読んでいてとても読みやすい。

ストーリーは泉の憎めないキャラのせいか、闇金からの逃避行の割にはどこかのんびり牧歌的な雰囲気で、最初はアハハと気軽に読んでいたのですが…中盤から893絡みのかなりヘビーな展開も入ってきて。
それぞれの人物の背景にある影を、きっちり描いている。
光と影、両方きちんと描かれているので、読み終わった後に幸せの中にも苦みが残る……このほのかに残る苦みがものすごく好きでした。おススメです
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