文学としても名著





2012年4月2日
ストーリーやキャラについては多くのレビュアー氏が的確に書いていらっしゃるので、敢えて省きます。
時代を大正に設定し、“最後まで一文字も誤まらず”にこの時代の文体を貫いています。これが本作品から気を逸らせる要因になり得る可能性を、登場人物達のすっきりとした言動によって排除することに、成功しています。
この文体だけでも渡瀬氏の本気が伝わり、素晴らしい作品と感じました。
百人一首を活かして情の深さを想像させ、行間を読む事も仄めかしています。よってBL愛好者だけでなく、耽美系や文語調に趣を感じるタイプの読者をも獲得できるでしょう。
更に、ファンタジー物で成功を納めた渡瀬氏が画風も工夫し、万人受けとは言い難い、人の業や情・貪欲な欲望を抉り出し、重々しいプロレタリアート文学の様に描写した意外性にも、目を向けたい所です。
部分的に漱石的な要素や太宰的要素が見受けられますが、あまりに重々しいと描く渡瀬氏も読者も苦しくなるのでは?と思います。
読書離れが話題になる昨今において、読書初心者には推薦しかねます。読む事への抵抗が小さくなり、感情移入できるようになったら一読の価値がある作品でしょう。個人的に、思春期後半には手に取って欲しいと思います。
時代を大正に設定し、“最後まで一文字も誤まらず”にこの時代の文体を貫いています。これが本作品から気を逸らせる要因になり得る可能性を、登場人物達のすっきりとした言動によって排除することに、成功しています。
この文体だけでも渡瀬氏の本気が伝わり、素晴らしい作品と感じました。
百人一首を活かして情の深さを想像させ、行間を読む事も仄めかしています。よってBL愛好者だけでなく、耽美系や文語調に趣を感じるタイプの読者をも獲得できるでしょう。
更に、ファンタジー物で成功を納めた渡瀬氏が画風も工夫し、万人受けとは言い難い、人の業や情・貪欲な欲望を抉り出し、重々しいプロレタリアート文学の様に描写した意外性にも、目を向けたい所です。
部分的に漱石的な要素や太宰的要素が見受けられますが、あまりに重々しいと描く渡瀬氏も読者も苦しくなるのでは?と思います。
読書離れが話題になる昨今において、読書初心者には推薦しかねます。読む事への抵抗が小さくなり、感情移入できるようになったら一読の価値がある作品でしょう。個人的に、思春期後半には手に取って欲しいと思います。

いいねしたユーザ2人
-
おかまま さん
(女性/40代) 総レビュー数:0件
-
nyanneco さん
(女性/50代) 総レビュー数:1713件