このレビューはネタバレを含みます▼
作者買い。なんて直截的なタイトル…ファンタジーではなく魔女狩りの方の “魔女” です。
ヨーハン・ヴァイヤーという実在の医師を扱って中世暗黒時代を描いた歴史創作で、ヘビィなテーマがふんだんに練り込まれています。魔女・人狼・異端狩り、ペスト流行に宗教の腐敗、どれもずっしり (最高です)。
暗闇を恐れるような人間の幻想が恐怖を掻き立て、隣人同士を疑心暗鬼にし恐慌に走らせる…集団心理は恐ろしいですよね。全く当時の比ではありませんが、コロナブームの際にちょっぴり実感しました。(職場で先陣きっちゃったのですよ…辛。)
そんな中で頑張るヴァイヤー。彼は魔女狩りに反対した先駆者的人物だったんですね。作中ではトラウマを抱えながらも、魔女を精神病患者であると訴え、冤罪に必死に抗います。
途中から人狼ゲームや悪魔憑きの謎解きミステリーのように展開し、最後は綺麗に纏めてくる所はさすが槇先生。歴史上はまだまだ魔女狩り真っ盛りなので、一応の終着に思う所は有りましたがソレはソレ。
自分的には、この頃の教義や魔術なんかの認識が特に面白かったです。非科学的知識を最先端として大真面目に探究してる所に歴史を色濃く感じます。師匠アグリッパの教義信仰も分かり易く…なんだか格好良い。オカッパなのに推せる。