あやまちは紳士の嗜み
」のレビュー

あやまちは紳士の嗜み

松尾マアタ

読後の印象がガラリと変わった

ネタバレ
2022年11月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何回か読んでその話の印象が変わるということはままあると思うのですが、自分はこの作品は本当にガラリと180度変わりました。
一番最初に読んだ時は、ハッピーエンドだと思いました。(不倫ということはとりあえず置いといて)。二人がくっつくとかくっつかないとかの次元ではなく、明るい朝を迎えたような、明るい方に向かうのだと思いました。とりあえず明るい気持ちになって読み終わったのです。
しかし、しばらくして再読して、印象は180度変わりました。やるせない気持ちになり胸に重いものが残りました。
ポールにとっては良い話でした。彼にも彼なりに過去があった。しかしそれを昇華した。自分のけじめもつけることにした。前進したのだと思います。
しかしジョナサンはどうなんだろうか。
彼はポールといる度にジョナサンをジョナサン足らしめているものが消え失せていくように見えてしまうのです。
ポールはジョナサンを愛しているのだろう。ジョナサンもポールを好いているのだと思う。けれど、ポールはジョナサンを消費しているように見えてしまうのです。どうしてポールはもっと早くにジョナサンの欲しい言葉をあげなかったのだろう。
いやどうしてってこともない。彼らにとってのタイミングがそこだっただけなのだと分かる。分かっているけれども、ジョナサンの最後の表情がとても苦しい。ジョナサンはこれからもポールの願いを叶えるのだろうか。叶える度にあの表情をしているのだろうか。
彼らはやはり一緒になるべきじゃなかったんじゃないかと思う。だからポールは出会った時結婚してたんだ。そう思ったのです。
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