ドラゴンギルド
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ドラゴンギルド

鴇六連/沖麻実也

未完の完結…ドラゴンギルドは永遠に

ネタバレ
2022年11月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズ8作め『鴉は恋風に舞う』は、全体の流れとしては前巻を引き継ぎつつ、主役カプとしては前巻で「鴉って、誰?」と疑問だったオリビエと風竜=シルフィードのガーディアンの話です。6作めのジュストが背負うものも重かったけど、オリビエには心理面だけでなく肉体面でも悲劇があって、更に物語が佳境に入る流れと関係してくるので相当の重量感と圧迫感がありました。

9作め『竜結社と永遠の守人〜上』は、大いなる敵ランヴィートルとの最終決着に向けての攻防戦です。日本と欧米のヒーローものについて「欧米は善悪が明確で、勧善懲悪の分かりやすい構造なのに対して、日本は線引きが曖昧で(国民性が出てると思う)悪役にも良い所があったり憎めなかったりで、善悪が明瞭でない」と感じますが、そういう意味で深く考えさせられる内容でした。ラストで誰もが驚く展開が待っていて、それに関してだけはイエスの予感しかありません。

10作め『竜結社と永遠の守人〜下』は、完結編の下巻ということで心理面も含めあらゆることに決着がついた巻でした。私の勝手な好みと予想では、シリーズ人気の要因に「何があっても概ねハッピーエンド」のお約束があるからだと思っています。だからこそ安心して読めるというのは、私の場合、確実にあります。その観点から言うと…なかなか厳しい最後だったと思います。でも今までの壮大なスケールからすると中途半端は許されないでしょうから、やむを得ないとも…複雑でしたけど、あとがきに「その結末を選んだ理由」が書かれていて、腑に落ちたし納得できたので良かったです。9・10とイエスかノーか疑問だった王女の展開は、結局ハッキリしないまま終わります。何と先生までもが伏せたままになさいますが、ヒントは頂けました。検索しても上位候補には上がってこなくて調べるのに苦労する人もいらっしゃると思うので、載せておきます。答えは【輪廻転生】です。他に誠実・高潔・冬の足音などがあります。

11作め『竜は四季を巡り恋をする』は、本編後の短編集です。それぞれの明るく穏やかな(そーでもないような)未来が見れて楽しめました。ここへきて新たなカプの登場もあってニヤニヤできましたし、更なるカプの予感もあってこれからと思うのに、終わってしまうのが寂しくて仕方ありません。never ending story だけど一旦ここで終了、未完のまま完結です。
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