狗の戀
」のレビュー

狗の戀

草野來/炎かりよ

愛憎あざなう骨太な物語。続編希望!

ネタバレ
2022年11月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同作者の「龍」シリーズが好きなので、今回も購入。読み応えあり!「龍」と話の展開が似ているなぁと感じる部分はあったものの、時代が異なり、軍人というこれまた独特な集団の世界観も新鮮で、あまり気にならず。今回のヒーローはより冷酷無比な印象。ヒロインに対する数度の強◯シーンは正直読んでいて辛く、嫌悪感もあったが、人物描写がしっかりとなされているためヒーローの苦悩も理解できた。肯定はしないが。そしてヒロインの窮地を身体を張って救い、その後軍上層部からも守り抜く場面にはグッときた。今作はヒロイン兄の存在も非常に重要で、兄妹愛には泣けた。その兄の存在があるから、ヒロインとヒーローが惹かれ合うことに心の痛みが伴うことが本当に切ない。そんな二人(+最後に登場した犬)の関係性がどう進化していくのか、もう少し読んでいたかったと感じる。加えて、昭和初期の日本に関する理解も深まったが、作中の勝利派閥が実権を握った先の日本の行く末を知っている分、敵対勢力が一掃されてもカタルシスは一切感じられず。むしろこの後のことを考えると辛い。ハードモードしかなさそうだが、それでも続編希望!
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