スパダリセクサロイドはご奉仕上手!?
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スパダリセクサロイドはご奉仕上手!?

高岡七六

意外にも感動して涙した

2022年11月14日
読み放題で4巻まで読みました。

天才ながら他者との関わりに未熟さがあるアンドロイド研究者の主人公が、子供のときに大事にしていた人形の記憶を引き継ぐアンドロイドを偶然手に入れることから話が始まります。

BL設定としては、一見して、このアンドロイドがセクサロイドだという点が重要にも思えますが、そういう性的なことより、実はこの作品には、深い感動が潜んでいて、ある事故が描かれる4巻では思わず涙が出てしまったほどです。

なぜ心を動かされたか考えてみました。
人形の記憶を継ぐこのセクサロイドが、主人公に対して、無償の愛、無条件の愛を投げかける。それによって勇気を得て、人間関係に回避的だった主人公が変化し、他者との関わりに踏み出していく。そういう成長が描かれています。

大人になりきれていなかった天才児が、人形との関係に促されて成熟を遂げる。そこに感動させられました。

子供と人形の間に生じる愛と安心の空間は、健やかな自己愛に役立っているのだということが、あらためて思い起こされました。

表紙やタイトルからは予想のつかない、良質な童話にも似た感動が隠されていて、びっくりしてレビューを書いてしまいました。雰囲気はほど遠く思えるかもしれませんが、童話や児童文学の好きな人におすすめかもしれません!
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