光のとこにいてね
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光のとこにいてね

一穂ミチ

登場人物みんな歪んでる。でも。

2022年11月16日
とても不穏な空気で始まるストーリー。主人公と彼女それぞれの目線から進んでいきますが、丁寧に叙情的に子どもの頃の感じ方、考え方が瑞々しく懐かしく思い出され郷愁に浸れます。が、登場人物がことごとく歪んでいるので、そのさまが何とも怖くて目が離せません。一穂さんが以前『普通の家庭ってなんだろうと思う。自分にとっての普通は他者から見たら普通じゃないのかも知れない』と仰っていました。この本を読んでつくづく「普通」の物差しは何だろうか、何と曖昧でくだらないことかと痛感させられました。歪んでる部分こそ愛おしく思える作者の筆力に圧倒されました。そしてラスト10ページ。気付けばハァハァと息を切らして読んでいました。切羽詰まった彼女たちの選択に、読後長時間引きづられました。私などには到底理解に及ばない部分もあったので、星は4.5です。
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