【特装版】吸血鬼は心臓の夢をみる【電子限定おまけ付き】
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【特装版】吸血鬼は心臓の夢をみる【電子限定おまけ付き】

央川みはら

心情面であと一歩を求めてしまった…。

ネタバレ
2022年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ V症候群という先天性の疾患をもつ人間(吸血鬼)。彼らは人血を欲し、心臓を貫かれようが死なないが、第二の心臓を人間に与えることで、その人間が死する時に自分も穏やかに死ぬことができる。そのため、共に死ねたらと願うほど愛するただ1人を探すという、ファンタジーではあるものの、設定からロマンチックです。しかもこの絵の綺麗さ!美麗さ!そしてヴァンパイア!笑 好きにならないはずがないですよね!
ちなみに1巻と2巻ではメインカプが全く異なりますので、第二の心臓をテーマに、2種のストーリーと個性的なキャラが楽しめます。

共通して言えるのは、どちらもロマンチックな設定ではあるものの、甘々な感じはなく、サスペンス的な要素も入っていて、人間の醜さや弱さにも焦点を当てて描かれていることです。これが結構衝撃的なので、思わず目を背けてしまう人もいるかもしれません。2巻は犯人に目星はついていました。理由もなんとなく。ただ1巻も2巻も犯人の言葉とか想いがずっしり重くて、切なさでやりきれない思いになりましたね…。人間と吸血鬼、吸血鬼と吸血鬼の共存…。脆くて儚い関係と強い想いが、その人の人生を狂わせていく。静かに、悲しく、そして温かくストーリーが動いていきます。

すごく良かったんですよ!設定もキャラもストーリーも面白かったですし。ただ、評価をする際に、星4か5か悩みました。1巻においては、「僕の心臓ではない」と言い切っていて、運命を探し疲れて朱里を特別にした感がどうしても拭いきれなかった。もちろん朱里の自分を想う温かい気持ちに触れて好きになったのも理解してるし、それで2人が幸せなら全然いいんですけどね。緋佐人サイドでの朱里への想いの強さが欲しかったという点が一つ。2巻においては、攻の紅一郎がめちゃくちゃかっこよく、且つお互い大好きなことが伝わってきたからよかったんですが、吸血鬼の感情に波がないからか、温度差が生まれ、少し物足りなさを感じてしまった点。
メインカプそれぞれの心情面が常に水面下で動き、ラストへと大きく繋がっていくと、もっと良かったんじゃないかと。でも生と死について考えさせられた素敵な作品でした。
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