今朝もあの子の夢を見た
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今朝もあの子の夢を見た

野原広子

子どもがいる方に読んでほしい

ネタバレ
2022年11月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分の両親が離婚しており、
7歳か8歳で会えなくなった父とはそのまま、後年父が60歳で孤独死したことだけを知りました。遺品もありません。
最後に、もしかして、二人が会えるかもと思えて少し救われました。

人間同士、すれちがい、気が合わなくなり、別れることもあると思います。
ですが子どもの立場からは、「憎み合っても別れてもいいから、争いを見せないで 争う過程に巻き込まないで」と言いたいです。
お父さんとお母さんどっちが好き?と聞かれたり、泣いてみたり、親戚がどちらかの親を悪く言ったり(子どもだからわからないとでも思ったのでしょうが、十二分にわかります)どんなに小さくてもその異変には気づきますし、
それを繰り返されると幼稚園児でも「またやってるよ。自分に酔ってるんじゃない?いい加減にして。私に見せないで、勝手にやって早く終わらせて。」と冷めてゆき、泣きもしなくなります。
そのまま、何においても冷めた性格になってしまうのです。
この言葉どおりに考えたわけではないですが、感じていたことは本当です。

冷めたつもりで大人になりますが、こういう生々しい作品を読んで今でもその場に立ち尽くしていることを実感させられます。
父、母、子(+鈴木さん)の気持ちを偏ることなく描写できる作者さんはすごいと思います。

別れてもいいのです。
だけど、だれかにとってどんないやな人でも、子どもにとっては大切なお父さんとお母さんで、
悪く言われたり互いに争う姿を見ると、自分が分裂するような気持ちになるのです。

別れる選択をしたとき、その後も、子どもにとっては「両」親であることを忘れないで、少しでも子どもの心を守ってほしい。
今子どもがいる方、別れを考えている方に読んでほしいなと思います。
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