スモークブルーの雨のち晴れ
」のレビュー

スモークブルーの雨のち晴れ

波真田かもめ

大人な二人

ネタバレ
2022年11月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 波真田先生の作品の雰囲気、どの作品もとても好きなのですが、「このスモークブルー〜」は特に好き、一押しです。何回でも読み返してしまいます。まずストーリーが素晴らしい。元々製薬会社で同僚だった朔太郎と静が、二人とも退職して何年もたってから再会して、静が始めていた翻訳という仕事を朔太郎が手伝うことになって、二人の新しい関係が始まっていきます。波真田先生の描かれる朔太郎と静が本当に魅力的で、よく練られたストーリーの中で二人の心の動きやお互いに対する思いなどが、読者にもイキイキと伝わって来ます。もう若くはない38歳の男性二人の大人な関係が、季節の移り変わりとともに丁寧に丁寧に紡がれていて、雨をはらんだ湿った空気の重さまで画面から立ち昇ってくるようです。ドラマCDにならないかな。それぐらい二人の間に交わされる会話も楽しいです。これからの展開が楽しみです。
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