鼻下長紳士回顧録
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鼻下長紳士回顧録

安野モヨコ

儚くも逞しく生きる娼婦達

2022年12月5日
ベル・エポックのパリの娼館「夜の卵」に生きる女たちの様々な人生物語。日々フランス紳士達のいびつで変態的な欲望を受け止める女達は、一見すると不幸で陰鬱な世界に閉じ込められて悲観的な人生を送っているように感じられる。ところがどっこい、なんと逞しい女達。男どもよりよっぽどカッコいい。クズのヒモ男にどっぷりハマっている主人公のやせっぽちのコレットでさえ、泣いたり笑ったり病んだりしながら日々を力強く生きている。その姿が人間味あふれていて感慨深い。作者のしっかりした力量を感じる作品。良かった!感動をありがとうございました。
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