何も言うな【コミックシーモア限定特典付】
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何も言うな【コミックシーモア限定特典付】

西田ヒガシ

いろんなものがぎゅっとつまっている

ネタバレ
2022年12月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 西田先生の作品初めて読んだ。短編集で、1冊に5CPのお話が収録されているので、1つ1つのお話はページ数でいうと非常に短いのだけれど、1つ1つまったく短さを感じさせない。もう終わったとか、あっけないとかいう感じがまったくない。そして一見するとお話自体にわりと真面目な空気がただよっているのに、1話目に登場する会社の名前がリブレ工業、西東商事、ビボイ物産という、え、この空気感でこの会社名にしちゃうんだというアンマッチさにおどろく。しかも脇役の社長がこれまたうそみたいに至極シンプルな線で描かれていて、こういう力の抜き方みたいなのはすごくおもしろい。そして非常にぐっとくるような終わり方をしたあとで、各話の合間に急にはさみこまれるキャラをデフォルメした絵(なんで鳥の絵なのかわからない、誰か教えてくださらないか)。なんだか真面目にやってたことの照れ隠しみたいに私には見えて、そういうのもおもしろかった。
余計な糖分は一切ないけど、殺伐としてるというのとも違う。わかりやすく愛を叫んだりもしない。セリフとか、間合いとか、展開が工夫されてて、ありきたりな、BLあるあるみたいなものがなくて、非常にふむふむふむーとなる作品。ストーリーはよかったのだけれど、絵が私の好みと少し違ってて、目の描き方とかはすごくいいのに、口元とか、腕をあげたときの感じとか、指先とか、全体的に人物に生き生きとした動きがなく固まって見えてしまい(これは私の感性の問題でどうしようもない)、エロの体勢とかキスの唇とかもやや硬い感じがして絵はちょっと残念だった。とはいえ読んだあと余韻にひたっていろいろ考えたり、想像したくなる作品で、作者様の他の作品も読んでみたくなった。
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