死に戻り皇女は前世の夫の初恋を成就させるため、身代わりの死を望む
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死に戻り皇女は前世の夫の初恋を成就させるため、身代わりの死を望む

智江千佳子/Ciel

下巻・番外編に泣きました。

ネタバレ
2022年12月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても切ない素敵なストーリーでした。
ムーンの方でまず、読みました。
そして、まとまった上下巻はciel先生の表紙・挿し絵が素敵で、そして、番外編が加えられて魅力的で、こちらも購入しました。
一番切なかったのは、下巻の番外編・レイの話でした。
軽く番外編なんて言えないストーリーでした。
彼は、前世と名付けられた、アンジェリカが自死を選択した世界に、ただ1人残されます。
彼女の死に、自らの過ちを悔い嘆き哀しみ、自分に与えられた祝福を、彼女の幸福な生き直しの為に使います。
その彼女の新しい世界での、彼女の幸福・存在の為には、前世のレイは、自死も叶わず、ただひたすら彼女を想い続けて、その生涯を全うする。
と言うストーリーでした。
本編は正確には、前世から見るとパラレルワールドであり、その世界の幸せな結末は、前世のレイが居てこそと言う切なさ。
交差する事もない並行世界で、片やレイは、たった一人で、もう片方の世界の幸せを願い、片や生き直しの人生を歩むアンジェリカは、過去の後悔や過ちを乗り越えて、強い信念で己の幸せを掴み、レイと二人で人生をやり直す。
誰からも気付いて貰えない存在なのかも知れませんが、自分の愛した人が、別世界であっても、幸せに生きてくれる事だけを切望しつづけていたであろう、前世のレイは哀しいけれども、本当に素敵だと思いました。
彼が居てこその本編です。
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