このレビューはネタバレを含みます▼
コンサートなど舞台の大道具を設営する会社になんとなく就職した谷龍矢は、社長の一番弟子である久米川伊織の下で半年間のツアーの仕事をすることになります。見た目が華奢で愛想も無い伊織は、仕事に関しては徹底したプロフェッショナルでした。その伊織が撤収後に片隅で一人うずくまって震えているところを見つけた伊織は、仕事の時とは打って変わった伊織の不安そうな表情に放っておけないものを感じます。翌朝、伊織はきちんと昨晩の礼を言い、いつも通りバシバシ仕事をするのでした。龍はその仕事振りに惹かれ、次第に仕事そのものにやりがいを見出してゆきます。親に認めてもらえず自分を見失ってしまった龍と、目の前で父親を亡くし早くに独りぼっちになった伊織とが、バディとして共に一夜限りの舞台を作り上げ、解体し、演者や観客の喜びに自らの喜びを重ねてゆきます。ちなみにガチというのは舞台で使う平台同士を固定するクサビのことで、大道具さんや美術さんが腰に付けた釘袋にガチを入れていることからガチ袋と呼ばれるのだそうです。二人を繋ぐ=ガチが上手にかけられていました。