ジェラールとジャック(白泉社文庫版)
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ジェラールとジャック(白泉社文庫版)

よしながふみ

誰かを愛し、すべてを許す

ネタバレ
2022年12月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 雑誌掲載、連載雑誌での単行本とどちらも当時を知っており、どれも購入しました。こうして改めて一冊で読み直してみて、ストーリー構成に驚かされます。
1話の段階で最終話までの執筆が確定しており、人物像および構成がなされていないと、なんのことか判らないまま単話で終わってしまいます。点でしかない彼らの会話や動向、背景が徐々に繋がり一つに纏まっていきます。妻や子、愛人、ジェラールの胸のうちに秘めた思い、ジャックの過去‥吐露される度に感嘆しました。当時も感じたことですが、その綿密さに脱帽です。
ジャックという存在がジェラールを生きさせ、ジャックを愛することで妻と愛人の所業、自分の愚かさ、それらすべてを許せたように、ジャックもまた、ジェラールがいて愛することができたからこそすべてを許せたのでしょう。
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