このレビューはネタバレを含みます▼
怪我をした天涯孤独の少年・修一郎を助けたのは、山伏の格好をした正体不明のテン。
少しづつ紐解くように明かされる、テンの素性や2人の関係性、
伏線回収されていくことで、作品の世界に入り込んでいきます。
昔話のようなファンタジーでありつつ、仏教の六道輪廻転生に基づいていて、有り得ることなのかも?とも思えて。
修一郎の前世である上人とテンの逸話……
今際の際の上人のテンへの想い。
手記を見つけた時のテンの上人への想い。
数百年の間、その気持ちを抱えたまま過ごしてきたテン。
それらを思うとぎゅっと胸が締め付けられる。
恋ではなく、敬慕や慈愛だったかもしれない。
でも生まれ変わっても姿が変わっても愛している。
魂のレベルで…
先を考えると切なくて手放しでハッピーエンド、ではないけど、修一郎が決断し、同じ時間を生きたいと願う2人に、この先幸せであるように…と誰もが願わずにはいられないはず。
巡り会えて一緒に時を刻めるこの時を何より大事に…
静かに胸に響いてくる作品。
幸せに穏やかに過ごす2人、で終わって想像に任されているラストが、わたし的にはよかったです。