その世のどこか、地図にない国【電子限定描き下ろしマンガ4P付】【ペーパー付】
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その世のどこか、地図にない国【電子限定描き下ろしマンガ4P付】【ペーパー付】

鯛野ニッケ

斬新な目線のファンタジーBL

ネタバレ
2022年12月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 閉鎖的な国家の主従の愛と命の繋がりを第三者目線から紡いでいくお話。
世界を放浪しているシンが忍び込んだ国で見たのは世界から取り残されたような現実で生きる人々。お話にはシリアスな問題が多く含まれているのですが、シンの明るさと軽さが暗い気持ちを払拭してくれます。ファンタジーとはいえ、オライエのような国の現実を冷静な外からの視点で分析するシンの目線は、お話を展開する上でも重要なピースになっていると思います。
お話の中ではシンは完全に間男で、主従二人の想いは強固です。ノネの欲を発散させる為と言いつつ行う一連の行為には切なさがそこかしこと滲み出ていて本当に胸が痛かったです。それでも、友人として国の為、彼らの為に助力するシンを間男と呼ぶにはもったいない。最初の考えなしにフラフラしているイメージと、読後の戦略的かつちょっとおせっかいなシンのイメージは、人としての引き出しの多さを感じさせ、人物像に厚みが出ていて本当にすごいと思いました。第三者目線でのお話でありシンとしては誰とも結ばれないさみしい結末なのに、こんなにも満足感のあるストーリーなのはさすがです。そして、表紙の絵が抜群にキレイで感動しました。
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