MADK
」のレビュー

MADK

硯遼

これこそ正に大どんでん返し。

ネタバレ
2022年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんな結末、想像してなかった。

あまりにも怒涛の勢いでJを追い抜く事に執着していく主人公の変貌が、見ていて飽きない。

だからこそ、あの結末を用意したJの一人勝ちには、ほとほと参った。

主人公の望みを叶えて、かつ、自身の望みをも叶える傲慢さ。
なんて悪魔らしい。

“終わらせたい”

その言葉の本意が、分かれば分かるほど、主人公に返っていく恐怖や寂しさがまた実に、見事。

愛しているからこそ憎らしく、憎らしいからこそ自分だけが支配したい。
自分が優位に立っても、過去(愛)が縛り付ける鬩ぎ合い。
歯に衣着せぬ展開は本当に舌を巻く。

人よりも人らしい悪魔達が、人の皮を被ったまま悪魔になった主人公によって、未来(破滅)していく。
その過程が、あまりにも美しく、哀れなせいで、一度読んでも二度、三度読んでも楽しめる。

Jのいない世界は主人公にとって酷くつまらなく、停滞する程刺激が無いのだとしても、主人公が追われる立場になって初めてJの孤独を知っていくのだとすれば、また違ったJの姿に触れられるのかもしれない。

そう思わせてくれる魅力がこの作品にはある。

個人的にはDとSのスピンオフがあれば読んでみたい。
Kが何より可愛い。

素晴らしい作品に出会えたと、久々に感動した…。
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