このレビューはネタバレを含みます▼
こんな結末、想像してなかった。
あまりにも怒涛の勢いでJを追い抜く事に執着していく主人公の変貌が、見ていて飽きない。
だからこそ、あの結末を用意したJの一人勝ちには、ほとほと参った。
主人公の望みを叶えて、かつ、自身の望みをも叶える傲慢さ。
なんて悪魔らしい。
“終わらせたい”
その言葉の本意が、分かれば分かるほど、主人公に返っていく恐怖や寂しさがまた実に、見事。
愛しているからこそ憎らしく、憎らしいからこそ自分だけが支配したい。
自分が優位に立っても、過去(愛)が縛り付ける鬩ぎ合い。
歯に衣着せぬ展開は本当に舌を巻く。
人よりも人らしい悪魔達が、人の皮を被ったまま悪魔になった主人公によって、未来(破滅)していく。
その過程が、あまりにも美しく、哀れなせいで、一度読んでも二度、三度読んでも楽しめる。
Jのいない世界は主人公にとって酷くつまらなく、停滞する程刺激が無いのだとしても、主人公が追われる立場になって初めてJの孤独を知っていくのだとすれば、また違ったJの姿に触れられるのかもしれない。
そう思わせてくれる魅力がこの作品にはある。
個人的にはDとSのスピンオフがあれば読んでみたい。
Kが何より可愛い。
素晴らしい作品に出会えたと、久々に感動した…。