縁側のレシピ
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縁側のレシピ

藤たまき

よかった!

ネタバレ
2022年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 傲慢な姉に振られたおデブの英太郎の、ダイエットの協力を始めためぐみ。
2年の努力を重ね、晴れてイケメンに変身した英太郎と、その後も穏やかなやり取りを続けていくうちに、合間に感じていた彼への恋心は家族の情のようなものに変化していく。
一方、英太郎は優しく接してくれためぐみを好きになったけれど、自身の家族や過去の経験などから引きずったままの欠落が埋められないままでいた。
好物の甘味を節制し、口寂しさを癒すようにめぐみの唇を求めるようになった英太郎の想いは、次第に歪んだ形を露呈してゆき…というような?お話です?
最後は監/禁まで発展し、無理やりな表現も出てくるので地雷持ちの方は一応ご注意が必要かもしれませんが、最後はハピエンだし、えぐい描写をされる作家さんではないので大丈夫かなとも思います。

英太郎の、過去や甘いものをやめられないことと、めぐみへの想いや焦燥がうまく絡められていて、ちょっとずつ垣間見えてくる闇にどきどきしました。

閉じ込められつつも、めぐみが彼を受け入れてゆく過程もよかったです。めぐみの優しさが眩しい……そして、対照的に描かれていた傲慢な姉の、最後に本心が伝わる部分もよかったです。
なんだかんだで、ゆっくりと仲良し兄弟になりそう。

個人的に長らく漫画を離れていて、久しぶりに読み始めたら、この作品だけ持っていなかったので、電子ですが今回購入してみました。
やっぱり藤たまきさん大好きだなあと再確認。
西洋絵画のペン画のようなタッチや独特の線の走り方は、人物のみならず背景や心象風景でも、すごい表現力だなあといつもため息がでます。
そしてなにより、セリフやモノローグのテンポや言葉の美しさ。もう、すごく好き。
ふつうに俗っぽいのに、どこか古典文学を彷彿する雰囲気があったり、はっとさせられる深みを見せられたり。
他にも好きな作家さんや作品はたくさんあるんですが、なんというか、藤たまきさんの作品でなければ補給出来ない何かがあるんです。

最近はあまり漫画を書いていらっしゃらないのでしょうか?
当時、手に入る作品は全て買い漁ったファンとしてはさみしい限りです。
レビュー評価が低すぎて思わず個人語りをしていまいました、すみません。
どなたかのお目にとまり、作品に触れる機会になって貰えたら嬉しいです。
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