このレビューはネタバレを含みます▼
学生の理科は探偵事務所でバイトしています。所長で初老のシブい東雲さん、探偵のカッコいい和貴さん、下っ端をしている綺麗な星彦からなる探偵事務所のお話は、迷い猫探しから始まります。星彦の言う「におい」をきっかけに猫の見つかった空き家に再び向かうと、一行はそこで孤独死を発見するのでした。さらに、アパートの裏から聞こえてくる泣き声を止めて欲しいという新しい依頼が来ます。そこでも行った先では死と「におい」が絡んでくるのでした。和貴に熱く恋する理科だけが普通で、皆何かしら訳ありそうな探偵事務所の面々の過去と今を巡る湿度の高いお話です。1話〜6話にプラスされた『東雲探偵異聞録 前日譚』は、本編中最も謎めいたキャラ•星彦のお話です。鄙びた温泉街の片隅、薄汚れたストリップ小屋での切ない純愛は出色の作品でした。続く『東雲探偵異聞録 後日譚』では、がらりとカラーが変わって物語全体がハッピーに締めくくられます。