灰の月
」のレビュー

灰の月

木原音瀬/梨とりこ

ここまで残酷で悲しい運命

ネタバレ
2023年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本作『月に笑う』を泣きながら読みハッピーエンドで喜んでいました。スピンオフのこちら『灰の月』ではもう最初から後半あたりまでヒリヒリするような痛い悲しい苦しいの連続でした。ここまで惣一が不幸になるなんて望んでない…(泣)この人はたった一人の人を心底愛してその人以外誰もいらなくて、どんなに激しく暴言を吐かれても泣きながらその人の言葉を神様の言葉みたいに真に受けとうとう手術までしてしまった。作者の木原先生はなかなか惣一を許してくれません。もうこの辺で惣一を幸せにしてあげて下さいと何度も泣きました。どの辺で立ち止まったら惣一はまだ幸せだったのか、読みおわって暫く考えました。かとうが惣一を組長の座にこだわらなければ、本当にそのままアメリカに行かせてあげれば、でも惣一はこの結末が良かったと言うかもしれません。続きは無いとわかっているのに、納得できない自分がいます。かとうの心がもっとわかる形で愛になって欲しい、だけどそれは惣一がどんなに望んでも得られなかったように、この物語はこれが終着点なのでしょう。惣一と共に泣きました。酷い暴言を吐かれて侮辱され傷付けられても好きで好きで嫌いになれない男。エッチの時にここまで言われたら、普通は嫌いになるだろうに、それでも好きでかとうが襲われたら命まで投げ出してしまう。どんなに望んでも心が得られない。木原先生の登場人物は本当に一途な人が出てきますね、それが涙を誘う。本当に泣きました。架空の人物ですが、二人が幸せであるよう心から祈ります。この作品は読むとツラいのに途中で止める事が出来ませんでした。
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