眠る兎
」のレビュー

眠る兎

木原音瀬/車折まゆ

木原先生の作品はやっぱりいいな。。

ネタバレ
2023年1月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 3部作。高校生がちょっとふざけてゲイ雑誌の応募欄に手紙を出したら。。という事の始まり。全くゲイじゃない高校生と思春期の頃から自分の性趣向に悩んで孤独だった教師のお話の「眠る兎」は最初どういう展開になっていくのか全くみえなかった。人物描写と背景、登場人物がそれぞれの思いとか丁寧に描かれていたと思う。木原先生が雑誌のデビュー作とかで時代背景も一つ昔。「眠る兎」はあえて改稿はしなかったという事でした。「冬日」は、「眠る兎」の高校教師が実家に帰った時昔好きだった幼馴染と偶然会い。。というお話ですがとても切ないような雪のにおいがしました。残りは書下ろし「春の嵐」。「眠る兎」の高校生の友人のお話。どれも、不器用だけど切実に生きている人たちの物語は、ファンタジーBLには程遠いリアルBLですが、あーやっぱり木原先生の小説ってすきだなと思ってしまいました。人間のエゴも見栄も泥臭い気持ちも自分の認めたくないところを突きつけられるようなところは避けたくなるのですが、だからこそ、その先にある物語の行く先に共鳴できるものや惹かれるところも出てくるのかもしれません。
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