アバウト ア ラブソング【単行本版】
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アバウト ア ラブソング【単行本版】

夏野寛子

人の心を描くのがうますぎる

2023年1月6日
愛しいから手を振りほどきたい。相手に影響を与えたくないけど繋ぎとめたい。会いたくないけどおめでとうは言いたい。そういう大人の葛藤やずるさを捉えて描写するのがうますぎて「すごい」という感想が一番に来ました。バンドマンといえば、モテてダメ男で…という風にサラッと説明されがちですが「どうして魅力的なのか?どこがずるいのか?」という部分を話の展開だけで表現しきっているのがすごかった。そんな大人(星名さん)のかっこ悪さが真っ直ぐな高校生(瀬戸くん)とのコントラストになっていて美しい作品でした。星名さんの気持ちも瀬戸くんの気持ちもわかるので、途中「もどかしい…」と頭を抱えながらページをめくってましたが、読後は「恋って、愛ってこういうものだよな…」と思えます。そして相変わらず絵が美しい。瀬戸くんが隠れるように涙するシーンも映画を見ているようでした。BLとしては「欲を言えば、甘々のターンをもう少し見せてくれ…(本編のみだと糖度低め)」という気持ちもありつつ、芸術というか、愛をテーマにした作品としては、どれだけ厳しく見ても星5つ以外の評価がつけられないです。※特典の少なさについては他の方がおっしゃる通り、電子勢には優しくないです。が、作品自体は申し分ないものなので、評価が低くなっているのがすごく悲しいです(単話購入している人は、電子じゃなく書店特典付きを買いに行くか、私と一緒に後日配信を願うかしましょう)。★追記:やっぱり後日特典配信してくれた…!悶えながら読みました、最高です。本当にありがとうございます。
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