スモールワールズ
」のレビュー

スモールワールズ

一穂ミチ

6つの家族の物語

2023年1月10日
本屋大賞3位受賞の作品で前から気になっていました。6編から成る短編集ですが、どれも家族をテーマに描かれており読後ずーんと心に残るものばかりでした。「式日」の中に"一軒一軒の窓の明かりは自分のものじゃない明かりほど美しく見える"という一文がありますが、共感です。家庭という小さな世界に必ず存在する歪み。6作品の家族にも決して外からは見えない秘密や歪みがたくさんあって、その"歪さ"を愛し受け入れながら生きる彼らにどこか物悲しさを感じました。淡々としたイメージのお話ばかりですが、各話が次の作品へとうっすら重なり合う部分があり、それを探しながら読むのも楽しかったです。一人ひとりの小さな世界が知らない間に知らない誰かの世界と重なり繋がっていく、だから「ワールズ」なのかなと思いました。
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