このレビューはネタバレを含みます▼
皇子の嗣子を守る騎士グリファスと、奴隷として働く少年リィトのお話。
作者買い。
六青さんといえば…な、お馴染みの健気受け。
今作はあとがきにて裏テーマが「涙と鼻水」とおっしゃっていた通り、読んでいて涙も鼻水も止まりませんでした。
命を狙われている皇王の嗣子ルスランの即位のため、王都まで旅することになったグリファス。
奴隷のリィトの命を助け、彼を嗣子の身代わりとします。
恵まれなかった生い立ちのため物事を知らなかったり、グリファスが嗣子を守ることが第一の使命であるため、色々至らないリィトは旅の途中厳しく叱られます。
が、今までモノを知らなかった彼にいきなり高度な配慮を要求するのは酷に感じます。
叱るにしてももっと言い方があるだろうに…と、思わず親目線で考えてしまいますw
グリファスのリィトに対する態度が必要以上に厳しい気がして、読んでいて辛い部分が多かったです。
使命はわかりますが、自分で連れてきたくせに! とイライラさせられました。
リィトの可愛い反撃で少々反省しつつありましたが、正直リィトが盲目的に信頼を寄せるほどの魅力が感じられません。
グリファス反省タイムは物語終盤。
冒頭シーンでリィトが囮になる展開は分かっていましたが、実際その場面になるともう…涙鼻水エンドレスw
敵に捕らわれ自白を促されるも、グリファスのため嗣子のため口を割らない姿勢はもうしっかり皇王ですよ。
リィトの成長が見られるシーンでもありましたが、その後六青さん作品お約束の展開へ。
知ってた…知ってたけれどやっぱり辛い。
一方グリファスは嗣子からリィトの最後の伝言を聞いて、ようやく自分の気持ちに気づいた模様。
遅すぎますし、もっとしっかりガッツリショックを受けさせ精神ボロボロになるくらいにして欲しかったw
嗣子即位後の地位を蹴ってまで助けには行きましたが、お家再興も成し遂げられるし、地位もそれなりなのかなというエピソードもあったので、結局グリファスは何も失っていないし、逆に全てを手に入れているのが何だかなぁという気がしました。
まぁグリファスが幸せならリィトも幸せなのでしょうし、着地点としては良かったと思います。
ただ、最後のラブラブエピソードが少なすぎて物足りません。
その後の短編くらいは欲しかったかな。