このレビューはネタバレを含みます▼
丁寧に練られたストーリーに加え表情や仕草で語られるものが多く、豊かな作品世界に思わず筆を執りました。
占いに興じる人の心というのは、自分の行動や気持ちを肯定したいためのひとつの承認欲求かもしれません。本作はそんな「占い」をキーにした物語。
とくに印象的だったのは、まずは寿里が天を好きになったエピソードです。
あのささやかな出来事に、2人がなぜ惹かれ合うかのすべてが詰まっているようで愛しかったです。あまり感情を表に出さない天くんの、あの場面でのあの表情…それに目を留め心を奪われた寿里の人となり…噛み締めてしまいます。
もうひとつは、物語終盤の展開と天が寿里に言った台詞です。
占いとか周りからの啓示でなく、あなたの口からあなたの気持ちが知りたい。戦略家ゆえに不器用な寿里の様子が可愛く、まっすぐな気持ちと言葉が素敵でした。幸せになってもらいたい2人です。