CURE BLOOD
」のレビュー

CURE BLOOD

戸ヶ谷新

これは、まぎれもなく愛だ

ネタバレ
2023年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォロー様がオススメされていて、立ち読みで気に入ったので購入。とてもすばらしかった。

突然、吸血鬼になってしまった医師の忠雪と、忠雪の為にその生涯をかけて共に歩んでくれ、血を提供してくれた十字先輩。

完全なるプラトニックどころか、性的な愛情さえ一度も示していない。でも十字先輩の「ただ共にある」ことを選んでくれた根底には、カップルや家族を越えた深い愛がある。

とても切ない。忠雪の家族との別れ。それに十字先輩も恋もせず家庭も持たず、辛くはなかったのだろうか。長い時の間に、2人の間で関係が変わる瞬間がなかったのだろうか。それは少し疑問にも思うが、信頼と深い友情と愛情、それだけでも2人は満たされていたのかもしれない。

淡々とした展開で、重要なシーンほどサイレントで表現されていく。この静けさが、想いの深さを感じさせてくれて好きだった。

テーマは割とある吸血鬼ネタだが、それをこんな風に清冽に表した作家さんはいなかったのではないかと思う。

私は2人はとても幸せであったと信じている。
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