悪魔の花嫁
」のレビュー

悪魔の花嫁

あしべゆうほ/池田悦子

子供の頃は名作だと思っていました

ネタバレ
2023年1月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大人になれば「そもそも近親婚が禁忌でなかった神話の時代では?」という、身も蓋もない疑問から始まります。
兄妹で愛しあった罰として、兄は悪魔の姿に変わり、妹は顔の片側が腐り落ち、戒められて永遠に逆さに吊られます。
かつて美の女神ヴィーナスと呼ばれた妹を元の姿に戻すには、人間界に転生した彼女、即ち美奈子の骸を手に入れればよい。しかし、兄はあっさりと美奈子に惹かれ、ヴィーナスを救う事を躊躇してしまう。延々と。悶々と。
このぐだぐだとした懊悩が、とにかく長い。外見の美しさが取り柄の主人公に、特段の契機もなく心を移し、長々と執着する兄の葛藤がひたすら浅く、ヴィーナス一人がただ可哀想です。
一話仕立てのストーリーでの連載形式が、キャラクターの内面を深く掘り下げる事に適していなかったのかもしれません。画は美麗ですが説得力に欠ける「昔の漫画」です。
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