青い鳥より【電子限定おまけ付き】
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青い鳥より【電子限定おまけ付き】

雨隠ギド

めでたしめでたしのその後

ネタバレ
2023年1月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『青年発火点』と『火傷と爪痕』のその後を描いた『青い鳥より』はフィクションで描かれた物語のめでたしめでたしで終わったその先をリアルに見せつけられたような気がする。


山隈と目白は7年経っても朝からイチャコラしてしまう仲の良さだけれど、山隈の甥を預かることになってから目白はふと、今の幸せを不安に感じてしまい、持ち前の妄想力&想像力から起こってもいない事態や山隈の未来を心配してぐるぐると考えてしまったり、同性同士の恋愛につきものな周囲への嘘や保身がリアルで苦しくなる。

ここに山隈の甥という緩衝材が入ることで重くなりすぎないのが意外と良かった。叔父である山隈と目白とで態度が全然違うのも現代っ子らしくて可愛かった。


名島と古賀は印象ががらりと変わり、前作のレビューで古賀は名島でいいのか? と書いたけれど、本当にそう思っていたのは名島自身だったというのが驚きだった。

飄々と軽く、難しい問題からすぐ逃げ出してしまう名島が古賀との未来や自分の在り方を真剣に考えていることが知れて古賀にとっても名島にとってもお互いがかけがえのない唯一の人なのだと思えたのが本作一番の収穫。

前作のレビューで名島をディスってしまったのを謝りたい。
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