誑惑遊び 辰巳ドロ子◆作品集
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誑惑遊び 辰巳ドロ子◆作品集

辰巳ドロ子

狂気好きにはもう一歩でした

2023年2月4日
140ページ。
6作入り短編集。明治から昭和初期までの時代感。
・『癖になる液』フルカラー。ふとしたきっかけから家庭教師に血を舐められるようになった少年。家庭教師曰く「君の血には中毒性がある」、しかしてその真相は。
・『追憶奇譚』少年と、病気で亡くなった姉、その伴侶である義兄。失意の義兄に尽くす少年に姉のおもかげが重なって、という話。少年の内面がもっと見たかった。
・『誑惑遊び』前後編。フルカラー。遊郭育ちの魅惑の少年の遊戯。エログロ。先生が、途中までは良かったんですけど、変化が急すぎた気がします。
・『子捕り』主人公の前に突然戻って来た、十年前に誘拐された幼馴染。少しずつ狂った歯車による不幸、それでも幸せを求めて。星4つ。
・『醒めない夢』前後編。死んでしまった優秀な兄、残された弟と兄の生前の念が、小説家を介してつながる夢幻。
・『恋文』南方戦線、字の書けない男の恋文の代筆を通じて仲良くなる二人。極限状態での欲の暴発の行方。ごんぎつねに同情しないタイプなのでいまいち。
〜〜〜〜〜
雰囲気は悪くないですが、乱歩と久作好きとしては、狂気が足りなかったです。
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