黒羽と鵙目
」のレビュー

黒羽と鵙目

花郎藤子/石原理

古き良き…いえ、今もなお良きヤク◯BL

2023年2月6日
9巻を一気に読み終えました。よく「古き良き…」などと言いますけど、言い方によっては「今」を保証するものではないと思うんです。そういう意味では「今も十分に通用するし面白い」作品でした。確かに途中まで(3巻あたり?)10年以上も前の作品なので仕方ないけど、事実として古い情報が多くて時代を感じました。例えば「世界の人口50億」は、興味深くて調べてしまいましたが、2022年11月時点で世界人口は80億を突破したそうです。そういう時代の流れとして仕方ない部分では古さを感じましたけど、他は良い意味で(アンティーク的な)昔っぽさが良かったです。下手に使うとただの親父ギャグになりそうなセリフも、ウィットに富んでいたようにさえ感じました。「あいにく物差しは持参してなかったから、伸びていても測れなかった」というセリフ…ちゃんと定規と物差しの違いを理解して敢えて物差しを使ってるんだよなぁとか。「目線だろうが二車線だろうが三味線だろうが関係ない」とか、上手いこと言うなぁと笑ってしまった場面が何回もありました。ちなみに、親父ギャグ如何の線引きは「子供が笑うか笑わないか」だと思っています。主人公の年齢も35くらいと、今の感覚で言ったらオジサンかもしれませんが、ヤク◯の組長が二十代というのは絵面としては良いでしょうけど説得力や現実感には欠けるような気がします。そういう面まで考えると、よくできた設定だと思います。特に9巻ラストで鵙目が自分で自分の肩を傷つけて言うセリフにはグッときました。あのセリフは生半可な人物や若者からは絶対に出てこないと思います。だからBL(ボーイズラブ)というよりML(メンズラブ)な気がします。登場人物が多岐に渡る上に、それぞれキャラが濃いのに挿絵がないので人物関係の把握が大変ですけど、4・5巻くらいからどんどん面白くなってのめり込んで読んでしまいました。最後はきれいに終わっていて、でも読み足りないです。完結表記はないけど…完結なのかな。凄く残念です。まだまだ世界観に浸っていたい、それぞれのその後を知りたいと思う作品です。皆さんにオススメしたい作品ですけど、人によっては地雷となる設定があるので、不安な方は他のレビューを参考にしてみて下さい。
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