魔法世界の受付嬢になりたいです
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魔法世界の受付嬢になりたいです

よね/まこ/まろ/株式会社フロンティアワークス

伏線回収

ネタバレ
2023年2月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ つまり、ちびロックマンは体が縮んだのではなく過去から来ていて、ロックマンには当時の記憶がある。
ちびロックマンは「焦げ茶色の明るくて元気なあの人」に救われ、恋心を抱いた(好きなタイプ)。

成長しナナリーに出会った時、似ていると思ったのだろう。もしかしたら聡明なロックマンは、過去の自分は未来の彼女と邂逅したのではないかというところまで考えが及んだかもしれない。

ナナリーはずっと一緒にいて欲しいというロックマンのお願いに、手遊びで勝ったらね、と言った。
でもこのナナリーはそんな未来の約束は知らないのだ。
ここでジャンケンを挑んだのはつまり、「ナナリーにずっと一緒にいて欲しい」と願ったということで、けれど約束が成立していない今は、なんの拘束力もない、ある意味おまじないのようなもの。
勝ったあとの勝ち誇った顔が、この過去を知ってから見るとただただいじらしい。
約束にもならない、ずっと一緒にいられますようにと願うおまじないに成功したことがそんなに嬉しいか。そうかそうか。

ナナリーの髪が水色になった時のほうけた顔。
ナナリーの髪が焦げ茶色じゃなくなって、あの人の特徴から外れてしまって、ショックだったのかもしれない。
あの人はナナリーじゃなかったのかと。

成長したロックマンが女性に優しくモテモテなのは、なんでもできてなんでも一番だったのは、あの人の予言じみた励ましを現実にすることで、もう一度会いたかったからなのかもしれない。
そのために影で努力をしていたのかもしれない。

あの人に恋心を抱いていながら、水色の髪になってしまったナナリーと過ごしてきたロックマン。
ナナリーと過ごす時間が長くなればなるほど、ナナリーを知れば知るほど、あの人を恋しく思う気持ちと、髪色が違ってもナナリーこそがあの人ではないのかと期待してしまう気持ちと、あの人も髪色も関係なく、出会ってから喧嘩ばかりのただのナナリーを恋しく思う気持ちとを積み上げて来たのだろうか。

所長におまじないの箱を渡されたロックマンが、箱の中身を知らなかったのもまたいじらしいね。
ちびロックマンは開けなかったんだ。
そしてきっと今も捨てたり無くしたりせずに手元に未開封の箱はあるのだろう。
ナナリーが箱を開けてないと知ったロックマン、嬉しかったろうなぁ。

そしてあの人が本当にナナリーだと気づいた時も、嬉しかったろうなぁ。
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