バナナブレッドのプディング
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バナナブレッドのプディング

大島弓子

崖から落ちるか落ちないか。

2023年2月10日
久しぶりに読み返した。表題作について。終始軽やかに描写されてるんだけど、現実と非現実との境界が曖昧な少女がギリギリ現実世界で立っている緊張感が伝わってくる。現実では切ない展開や理不尽な展開が次々と起こって、読者としてはそこにも心的にダメージをくらいつつ、少女イラの非現実観の強い思考による恐怖も感じられて、読後精神的にすごい疲れる。息切れする。そういう読後感になるのは、大島先生の作品にはけっこう多くて、とてもじゃないけど一気には読めない。一つずつ咀嚼時間が必要。とくにこの作品は割り切れない現実を突きつけたまま終わるので。それが現実なんだけど。スッキリとはいかない。なので気軽には読み始められないけど、無性に読みたくなるときがある。そんな作品。
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