このレビューはネタバレを含みます▼
化学部の鮎喰司と佐古一斗は1年生の夏に、来年になっても彼女ができなかったら付き合おうと約束します。案の定2年の夏の終わりになっても彼女はできなくて二人は恋人同士になります。付き合うってどんな感じか知りたいと言う佐古に引っ張られる形の鮎喰は、ちゃんとした誰かが現れるまでの実験なんだろうと思いつつ、触れた佐古の手の感触にドキドキするのでした。初めてのデートで映画を観てラーメンを食べてショッピングを楽しんだ二人は、一コ上の化学部の宝田先輩と行き合わせます。「俺たち付き合ってるんです!」と言う佐古に、鮎喰は慌てて「これはお試しみたいな感じ」と誤魔化そうし、先輩に「ばかげてやがる」と言われるのでした。それ以降二人の間に微妙な距離ができてしまい、鮎喰は気まずさに居た堪れなくなります。やがて先輩の「ばかげてやがる」は、お試しなんて真心の無いことはするなと言う意味だとわかり、鮎喰は自分の気持ちと向き合います。地味な理系DKは言葉で想いを伝えることが出来ず、そこがなんとも初々しいです。手探りで前に進みながら、好きってどういうことか、付き合うとどうなるのかを一つずつ確かめていく二人のお話は、作者さまの画力の高さが素晴らしいです。