愛と呪い
」のレビュー

愛と呪い

ふみふみこ

どう評価して良いのかわからない。

ネタバレ
2023年2月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ すさまじい。強烈な地獄(褒めでもdisでもないです)の表現でした。浅野いにお氏との対談で、この地獄を中二病で済ませる事に違和感を覚えたけど、作者さんの半自伝とあるし、浅野氏はギャクタイ体験もないそうだから、言っても理解できないだろうな、と自虐だったのかも、とも思います。そして、レビューで頻繁にお見受けする『うちの親も同じ事を言った』については、笑う。笑うしかない。面白い笑いではないです。自虐か自嘲か。ご多分に漏れず、うちの親も同じ事を言いました。うちは性的なアレではありませんでしたが、問題のある家庭でしたので。作中の『地獄は違和感に気付いてから』が全くその通りで、この地獄一生続くんですよね。忘れていてもふとした瞬間に思い出すスタイル。世間の普通と比べて思い知らされる地獄育ちの自分自身を。毒親のテンプレとして異常なまでの他責、責任感の欠落があります。なので、必ず言うんです。「当時は必死だった」と。これは毒親試金石です。これを言えばゴミ親。毒親は「当時は必死だった」「だから、私のせいじゃない」「私は許されて然るべき」と続きます。続かなくても、毒親たちは間違いなくそう思っており、そんな事を訊かれた事も三秒後にはどうでも良い出来事として忘れるか、和解できた瞬間などと美化された記憶として保存されるのです。そうした『家庭』という地獄と向き合い、つぶさに描かれた作品でした。地獄を知らない人には理解できないでしょう。理解できない、それは幸いな事です。大切にして下さい(何とか鑑定団の中島先生)。
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