よきヒモとよき飼い主【コミックス版】
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よきヒモとよき飼い主【コミックス版】

未散ソノオ

純粋に信じ合えるヒモと飼い主

ネタバレ
2023年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 広告代理店に勤めるエリートサラリーマンが自宅マンション前にいた男の子を拾いヒモとして飼い始める。その後、自身の父親の借金苦によって変わろうとする状況をヒモと一緒に乗り越えていくお話。
題材や設定、展開がとにかく斬新で読んでいてとても印象に残る物語だと思いました。モンティを取り巻く環境やモンティ自身の考え方などはまさに常識的なもので、ともすれば暗い展開になりがちなのに、それを一蹴するかのようなメロンの底抜けの明るさと真っ直ぐさとおバカさのアンバランスさがとにかく絶妙です。
読んでいると、メロンのお金をせびる行動はまさに悪いヒモの代表的な手口だし、モンティもそれを分かっていながらお金を出すあたり、二人の関係は確かに「ヒモと飼い主」。なのに、貰ったお金以上にモンティの為に役に立とうとするメロンの思いと、父親の借金により消えていくお金より価値があるお金の使い方だと思うモンティの思いは、ヒモと飼い主を超えたお互いへの愛情で、精神がすり減らされるリアルな世界にある、全く打算のないピュアな部分に心救われる思いがしました。メロンの周りにいた友達もみんないい子で、彼自身は何も出来ない子かもしれないけど、彼の何も疑うことのないストレートな生き方が周りに人を集めるなど、目には見えない何かを持っている子なんだと感じました。モンティのように甘えることを知らない頭の固い人にとってみれば、メロンの人への甘え方、接し方は見本にもなるし癒やしにもなるんだと思います。
最終的に、たこ焼き屋が大当たりして万々歳というわけではない展開も、世の中の厳しさがきちんと描かれていて良いと思いました。その中で二人で生きていくことの強さを感じられる素敵なお話です。
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