エゴイスト
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エゴイスト

高山真

本日、映画を観てきました。

ネタバレ
2023年2月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 原作と映画、どちらを先にしようかと迷いましたが。映画では浩輔の慟哭は伝わりましたが、龍太の人生は…?となり、その点も含めもっと知りたくて、帰宅してすぐに原作を購入し読了。たった122ページの中に、彼の生い立ちや恋人、その母親との関係が予想外に淡々と描かれていました。「僕には愛がわからない」という主人公が「エゴイスト」と名付けたことが本当にやるせないです。これを愛だと言わずして何と言うのでしょうか。あとがきが鈴木亮平さんだったことにも驚き、最後の少年少女へのメッセージにまたも涙腺が崩壊しました。高山さんの冷静な文体と、映画で流れていたピアノの音が耳に付いて離れません。恋人の急逝と相次いでその母の死。高山さんご自身もお母様と同じ肝臓がんだったこと、もう運命としか思えません。そして、ヤングケアラーだった龍太。高校を中退して売りで家計を支える事しか出来なかった彼の、トレーナーになりたい夢。「地獄ばかりじゃなかったよ」の場面では嗚咽が止まりませんでした。余りにも凄絶で短い人生を駆け抜けた龍太が、晩年は幸福を感じていたと知って安堵しました。何度も何度も出てきた全員の「ごめんなさい」が辛かった。誰も、何も悪くなどないのに。鈴木亮平さん同様、今頃4人で仲良く幸せにしていてくれたらと、私も祈らずにはいられません。
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