有賀リエ連作集 工場夜景
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有賀リエ連作集 工場夜景

有賀リエ

とても考えさせられた

ネタバレ
2023年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ ネットの記事の間に突然出てきたわずか何秒かの広告だったが気になって即購入。何の罪もないのに苦しみ続ける若い2人に胸を抉られ何度も泣かされた。今鼻が詰まって苦しいぐらいに。どちらも不憫で可哀想で…。ただ、自分が碧の父親以外の大人の立場になったと考えるとどの気持ちも否定できない。例えば碧の母なら。夫を許せないのは当然だが確かに何故そんな大事にするのだと思ってしまう気もする。同じ女性でも自分と自分の子供を守りたいと思うことだろう。(碧の母は子供に守られてしまっているが…そうなってしまう弱い人もいるかもしれない)貴臣の母なら。そういった経験は自分にないけれど、やはりある程度年齢がいってからの出来事に事件そのもの以外でも傷付けられて苦しく、碧の存在すら疎ましく自分の息子にだって関わって欲しくないと当然思うだろう。自分が事件に関わっていない部外者なら。会社の派遣の子にそのような過去があると知ったら、本人がきちんと仕事をする何の問題もない人ならばきっとこれまで辛い思いをしてきたんだろうと、口には出さなくとも普通に接してあげたい。只々見守ってあげたいと思う。この辛く苦しい話の中で、貴臣の会社の上司や碧のバーのママさんにとても救われたので、自分ならそういう存在になりたいと思った。過去の大きな事件の加害者の家族の記事を読んだこともあるが、それは壮絶な思いをされていて、自ら死んでしまった人もいる。碧がそうならなくて良かった…。2 人の穏やかな今後を応援したい。絵柄は全体的にすっきりしてて碧はかわいらしく貴臣は見た目もかっこいい少年→青年でとても好きな絵です。なのに話は重厚で、でも読みやすく、素晴らしい作品に出逢えた事に感謝。
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